シフォンケーキのお話 イタリアンのお店がシフォンケーキを焼く理由

*始まりは大きな失敗からでした。

2019年の前半、新たにお弁当を卸す仕事を始めた事がきっかけでした。

会議で使う比較的豪華な弁当を大量に作る仕事を始めたのですが

 思ったほど注文が来ず、かなりの苦戦を強いられていました。

先行投資もかなりしてしまったため、お店としてかなりのダメージです。

「このままではまずい、何か打開策を」ってな感じで、当時の僕は消耗していました。

そんな中、弁当用に大量に仕入れた卵を見つめながら、料理の失敗は料理で取り返すしかない!

そう思い、何か卵料理を作ろうと思いました

そうは言っても現実逃避に近かったのかもしれません。

 

・シフォンケーキ開発秘話

そうだ、焼き菓子なら日持ちするし、テイクアウト販売も可能だ

卵を使った焼き菓子、シフォンケーキはどうだろうか?

今までにないくらいしっとりとして、それでいて濃厚で、シンプルに美味しい

そんなシフォンケーキは作れないだろうか?

そんな風に開発はスタートしました。

今までにないものを作ろうとすれば、当然失敗の連続でした。

失敗を重ねながらも少しずつ形が見えてきました。

そしてようやく満足のいくシフォンケーキが完成しました。

プレーンシフォンケーキ(当時の価格1000円)の誕生です。

 

・販売開始

 完成したシフォンを販売すると非常に好評でしたが、あまりにも今までに無いシフォンを目指したせいか

これはシフォンケーキじゃない!という声もいただきました。

それでも自分にとっては褒め言葉に感じました。

アマッザにしか作れないシフォンケーキだという何よりの褒め言葉なのですから。

 

・農場依頼で宝玉シフォン開発 直売所で販売開始

シフォンケーキを作っている卵を配達してくれている農場の人にも試食してもらうと、とても喜んでいただき

是非自分の農場でも販売したいので卸して欲しいとの声を貰いました。

ただひとつ条件があって、農場の最高級の卵で作って欲しいとの事

そうすると原価が変わってしまうので、別商品として開発する必要が出てきました。

まあ卵が変わるだけだし、いい卵を使えば、より美味しくなるから良いことだろうなと考え引き受けました。

これが苦悩の道のりの始まりです。

 

・卵の違いによる生産の難しさでプレーンシフォン休止

卵の種類が変わっただけなのに急に上手く作れなくなりました。

卵の種類が違うだけで成立しなくなるほど極端なレシピのシフォン

そんな危うさが露呈します。

それでもやるしかない

更なる研究を進め、何とか上手く作れるようになり

プレーンシフォンとは別商品の「宝玉シフォンケーキ(当時の価格1500円)」が完成し

農場の直売所の販売がやっとスタートします。

このまま順調に行けばいいのに、人生はそんなに甘くないようです。

皮肉な事件が起こります。

宝玉シフォンが上手に作れるようになると

今度はプレーンシフォンが上手に作れなくなってしまいました。

片方を立てれば片方が駄目になってしまう

そんな状況で

単価が高く、安定して売れている宝玉シフォンを選ぶことにし

プレーンシフォンを休止することを選びました。

残念に思う方も沢山いたと思いますが、そこは商売と割り切るしかありませんでした。

 

・2020 コロナ流行 店内営業不可

そんな中コロナウィルスの流行

店内営業ができなくなってしまいます。

飲食店としては大ダメージ

ですが皮肉なことにここに来て、お弁当の卸が急激に忙しくなります。

そして、未曾有の事態に何故かテイクアウトの依頼も急増

寝る間もないほど忙しい日々に突入します。

 

・ロピアより打診 プレーンシフォン、ロピア限定で復活

誰も体験した事の無いコロナ渦

悪戦苦闘しながら目の前の仕事をこなす日々

地元のスーパーのロピアさんから、ある提案をいただきます。

スーパーの販売力を使って地元のお店の手助けが出来ないでしょうか?

出来れば洋食のお惣菜をロピアで販売してみませんか?との事

その時期は確かに皆がスーパーに駆け込んでいた時期です。

確かに今の時期スーパーでアマッザの商品を売ってもらえるのは、とんでもなくありがたい話です。

ただ、スーパーで売れるほどのお惣菜が作れるんだろうか?

そんな思いもあったのですが、

あれ?スーパーみたいな販売力のある所が力を貸してくれるのなら

これってプレーンシフォンを復活させるチャンスなんじゃない?

そんな風に考え方を改め

営業の担当の方にそのお話をすると快諾して頂きました。

こうしてプレーンシフォンは(税込価格1080円)として見事復活をとげました。

プレーンシフォン休止を嘆いていた皆さんが殺到していただいたおかげで、ロピアでのプレーンシフォン復活は大成功

すばらしいスタートを切ることが出来ました。

 

・農場から販売拡大の依頼

元々一之江の駅前に設置していた卵の自動販売機を増やし

江戸川区内の本一色と葛西にも自動販売機を増やすことになったそうで

本一色の自動販売機の設置場所が自動販売機を置いてなお余裕があるので、そのスペースをシフォンケーキ用の厨房にし

自動販売機でもシフォンケーキの販売をする事になりました。

*アマッザが作ったシフォンを田中農場が仕入れて自社名義で販売する形式

 

・釜の違いにより悪戦苦闘

シフォンケーキの厨房のオーブンはアマッザのオーブンとコンベクションと言う熱風で焼く形式は同じなのですが

同じように焼いても全く同じように焼けません。悪戦苦闘しながらオーブンの特徴を見極め

何とかうまく焼けるようになったのですが、まだまだ安定しない日々が続きます。

 

・宝玉シフォンを黄金のシフォンケーキと改名して卵の自動販売機で販売開始

何とか形になってきたので名前も新たに自動販売機での販売が開始されました。

評判も上々でしたがまだまだ改善の余地ありで、この時期はシフォンのことばかり考えていました。

 

・2021コロナ過は収まらず

1月からいきなり緊急事態宣言

1000人を超える感染者が出始め再び緊張感のある毎日になった気がします。

弁当もシフォンもそれなりに売れていたので、店内飲食はしばらくしない方がいいのではと言う気持ちでした。

 

・ラジオで黄金のシフォンケーキが取り上げられ、人気が出始め、生産が追いつかなくなり始める

春ころに自動販売機の特集でシフォンを紹介していただき、安定して売れるようになりました。

ラジオと言うメディアの特徴なのか年配の方に多く買っていただけるようになりました。

 

・テレビで取り上げられ自動販売機に行列ができる、ぜんぜん足りなくなる

初夏のころ今度は卵の自動販売機がテレビで取り上げて、ついでにシフォンも紹介していただいた事もあり

翌日から自動販売機なのに補充を待つ行列が出来ることになりました。

自動販売機に入るよりも先に売り切れてしまい、生産も増やしましたが追いつかなくなりました。

1週間位で落ち着くだろうと思っていましたが3ヶ月近く続いたような気がします。

 

・値上げ

作っている側としては反対していたのですが、かないませんでした、残念です。

 

・鳥の事件

農場の電気トラブルで赤い卵を産む鳥が沢山亡くなってしまう事故が起こり

卵の自販機もメインのアイテムがなくなってしまいました。

シフォンケーキの分は確保してくれる事になりましたが東京では赤い卵の販売は休止になります。

値上げと赤い卵の休止で自動販売機はちょっと元気がなくなった気がします。

 

・機械の故障と父親の死。

シフォンケーキ用のミキサーに無理をさせすぎたせいで、半年くらいしか使っていない業務用のミキサーが故障してしまいます。

しかも世界的に足りていない半導体の交換、時間がかかりそうでしたが

父が他界したので、休んで色々しなければならない事もあり修理に出す事にしました。

父が死んだ時期に焼いたシフォンは本当にへたくそでした。すいません

 

2022

・白い卵年内終了

プレーンシフォンで使っている白い卵を2022年で生産が終了するとの知らせ

プレーンシフォンが作れなくなるのでお店での販売も最後になるので予約制で復活させました。

作れる間になるべく沢山の方に食べて欲しいです。

 

・ロピアでの販売をどうするか?

卵の件を担当の方に伝えると、原材料名が大きく変わらないのであればロピアとしては継続して販売したいとの事

ありがたいです。対策を検討中です。

 

・新たなシフォンケーキ開発

とはいえ次のシフォンをどうするのか

赤い卵を使って自販機と同じにするのか

正直シフォンケーキに関しては白い卵のほうが合っていると感じているので

違う卵も沢山試しました。

まだまだ実験中ですが試した新しいレシピが非常に美味しかったので、早速プレーンシフォンに取り入れました。

新たなシフォンで試そうとした技ですが、もう披露しています。

今のプレーンシフォンかなり進化しています。

 

・弁当の契約終了

シフォン誕生のきっかけともなったお弁当の契約が終了しました。

本当に大変な思いもしましたが、この特殊な状況の中で、かなり頼もしかったです。

夜中の2時から80人前の弁当を仕込んで9時に配送の人に預けた後、ロピアに納品するシフォンを焼き

その後、本一色に移動してまたシフォンを焼き、ふらふらになって戻ってきたのも今ではいい思い出です。

お店は全く営業してなかったですが、厨房はフル稼働していました。

 

・赤い卵復活

赤い卵の鳥もやっと育ってきたので自動販売機にも赤い卵が入るようになりました。

 

・今後のシフォンケーキについて

今アマッザは二つのシフォンケーキを焼いています。

自動販売機の黄金のシフォンケーキ

アマッザで買えるプレーンシフォンケーキ

何で2つシフォンケーキがあるのか

ちょっとややこしいので説明しようと年表を作ってみたらこんな長文になってしまいました。

 

プレーンシフォンケーキを今後どうして行こうか

卵が変わるので名前も変えようか悩んでいます。

値段の件もあります。

今、原材料すごく上がっていますが、プレーンシフォンの値上げはしない予定です(黄金のシフォンも卸値は上げていません)

喜んでもらえる値段とはなんぞや?

原価は無視できない部分ですが、売れない値段なら意味がないと思います。

この出来でこの値段ならお得だね!

そういってもらえるシフォンを作り続けたいとおもいます。

 

・シフォンケーキリニューアル

白い卵の生産が終了しました。

白い卵の代わりに桜の卵に変更してバージョンアップしました。

かなりバージョンも変わったのとプレーンシフォンケーキという名前では個性がなさ過ぎるのと

一応イタリア料理のお店が手がけたシフォンという事で今後は「イタリアンシフォンケーキ」という名前に変更します。

(ロピアで販売しているものは名義変更が大変そうなので、そのままプレーンシフォンですが、中身は同じです。)

そして2022から2023年にかけて、物価の急上昇でシフォンケーキの原価は倍になってしまいました。

値段をどうしようかずっと考えましたが、こんな時だから値段は据え置こうと思います。

正直値上げしたいなという気持ちはあります、

でも、買ってくださる方に喜んで欲しいという気持ちとロピアへの感謝も含めて

今は意地でも値上げしない事にしました。

なので沢山のお買い上げお待ちしています。

 

2023 9月5日追記

まだまだ原価の値上がりが続いていますが、プレーンは据え置きで頑張り中です。

新たな試みとして季節限定の味のバリエーションの販売や予約なしで買える冷凍在庫という試みも始めてみました。

夏も終わり、秋から冬に向けての特別なシフォンも開発中です。

 

2023 11月10日追記

黄金のシフォンケーキ年内で販売終了する事になりました。

買えるチャンスは後一か月と少しですので、沢山のお買い上げお待ちしています。

 

2023 12月15日追記

本当に申し訳ないのですが、原価が上がりすぎてしまったので来年からプレーンを100円だけ値上げさせて下さい。

ロピア納品分だけは梱包が簡易なので据え置きします。

 

2024 1月6日追記

江戸川区内の3か所の田中農場の卵の自動販売機でイタリアンシフォンケーキのプレーンを販売させていただく事になりました。

1月6日より販売開始となります。よろしくお願いします。

 

自動販売機の場所は

江戸川区本一色1-15-10

江戸川区一之江7-39-39

江戸川区東葛西6-6-1サバーバン葛西

 

となっております。

 

 

2024 3月2日追記

2020年よりお世話になっていたロピアさんへのシフォンケーキの販売ですが

3月一杯で終了する事になりました。元々コロナ渦でスーパーが地元のお店の商品を販売できないか?という企画だったので

コロナも一応収まり、その事業も終了するとの事でした、4年間大変お世話になりました。

4月からはロピアさんに納品していた量はアマッザで在庫する予定です。

冷凍で販売するか生で販売するかは。、しばらく様子見をして決めようと思います。

 

2024 4月2日追記

期間限定フラゴリーノシフォンの販売を終了しました

オレンジショコラはオレンジを熊本産の河内晩柑に変更、ココアもブラックココアに変更した

濃厚なバージョン2を販売中です

次の限定ラズベリーサワーの開発に取り掛かりました

 

 

 

 

シフォンケーキの年表 簡易版

2019弁当出展 失敗

プレーンシフォン開発 販売開始

農場依頼で宝玉シフォン開発 直売所で販売開始

卵の違いによる生産の難しさでプレーンシフォン休止

2020 コロナ流行 店内営業不可

ロピアより打診 プレーンシフォン、ロピア限定で復活

農場から販売拡大の依頼

自販機での販売用にアマッザシフォン工房オープン

釜の違いにより悪戦苦闘

新たな商品として販売するため宝玉シフォンを黄金のシフォンケーキと改名して卵の自動販売機で販売開始(副業感覚)

2021

コロナ過は収まらず

ラジオで黄金のシフォンケーキが取り上げられ、人気が出始め、生産が追いつかなくなり始める

テレビで取り上げられ自動販売機に行列ができる、ぜんぜん足りなくなる

値上げ

鳥の事件

売り上げ減少

機械の故障と父親の死

 

2022

白い卵年内終了

ロピアでの販売をどうするか?

新たなシフォンケーキ開発

弁当の契約終了

赤い卵復活

 

 

2023

レシピと卵を変更し、より美味しくなるようにバージョンアップ

名前もイタリアンシフォンに変更

そして意地で値段は据え置き 

 

黄金のシフォンケーキ年内で終了

 

2024

イタリアンシフォンケーキを田中農場たまご自動販売機で販売開始

あまりにも原価が上がりすぎてしまったので100円値上げさせ下さい。

代わりと言っては何ですがロピアだけは値段を維持します。

 

ロピアでのシフォンの販売が3月一杯で終了する事になりました

今後納品していた分の卵に余裕ができますので、アマッザでの在庫を増やす予定です